のぼりに引き寄せられるように入ったお店

昨年の秋頃、夫と二人で久しぶりに大阪の繁華街に出かけました。私はもともと大阪の出身ですが、夫の仕事の都合で田舎に越して以来、なかなか帰る機会がありませんでした。高速を使えばたったの二時間ほどですし、鉄道ならもっと早いのですが、不精の私にとってはなかなか思い立ってすぐに行ける距離ではありません。ところが昨年の秋、土曜日にも関わらず夫が大阪で仕事があるということで、私もついていくことにしました。夫の仕事は午前中には終わるということでしたので、それまで私は一人で市内をぶらつき、午後から落ち合って映画でも見ようという話になりました。ウインドウショッピングは好きですが、三時間も一人でブラブラするのは思った以上に疲れました。田舎へ引越してからはどこへ行くのも車が当たり前になっていましたので、余計にちょっと歩いただけで疲れてしまいました。ショッピングにも飽きて、ちょっとどこかで一休みしようと思うのですが、土曜日の繁華街、どこを見渡しても若い男女のカップルばかりです。もともと一人でお店に入れないタイプの私は、なかなか入る店を決めることができないでいました。

しかしいい加減足も疲れてきて座りたいと思い、商店街の中を歩いていると、かき氷ののぼりが目に付きました。実は私はかき氷が大好きなのですが、もう秋も深まってきたその頃にはほとんどのお店でおいていませんでした。そこへ目に入ったのが鮮やかないちごミルクの大きなのぼりでした。練乳がたっぷりかかっていて、見るからに美味しそうなかき氷でした。

和定食や生ビールののぼりも同時にはためいていましたが、私はかき氷ののぼりに目が釘付けになってしまいました。その店は定食がメインのようで、女一人では入りにくそうな雰囲気でしたが、まだ昼時には時間があったため、店内は空いているようでした。入口のドアだけがガラス張りになっていて、のぼりの横から覗き込んで店内を見てみると、なんと女性一人で座っている人がいました。足の疲れとかき氷を食べたい欲求に負け、私は一人で店に入りました。メニューも見ずにお水とおしぼりを持って来てくれた店員さんにいちごミルクのかき氷、と注文したところ、なんともう終わりましたと言うのです。どうしてメニューからなくなったのにいつまでものぼりを出しておくのかと、腹が立ってしまいました。仕方がないので代わりにコーヒーを頼みましたが、のんびり休憩する気になれず、結局15分ほどで店を出ました。のぼりは通りがかる人に一押しのメニューを宣伝できる便利なアイテムです。私のようにのぼりを見て入る客もいますので、店の看板だと思って細心の注意を払ってもらいたいと思います。この店は残念な使い方をしていました。

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